top of page
執筆者の写真マイケル

頑固親父のハワイ一人旅


ハワイ

淡いブルーの作業着を着たおじさんが、一人。私の務める旅行会社に来店してきた。年は60歳手前くらいに見えた。ドカドカと私の席まで突進してくる。そして、私の前にドカっと、足を広げて腰を下ろした。当時勤めていた旅行会社は、カウンター越しに接客するスタイルとなっていた。『いらっしゃいませ。』とおじさんの前に立ち、声をかけ、名刺を差し出し座った。

『ハワイに行きたいんだけど!!2泊3日で!!できるだけ短く!』

2泊3日!?おいおい。おっさん。2泊3日って。。。。熱海や伊豆に行くのと違いますよ。ハワイですよ。ハワイ。。。

東京からハワイ(ホノルル)まで、フライト時間は片道7〜8時間である。ハワイ線は、ナイトフライトのため、日本を夕方〜深夜に出発する便に乗る必要がある。時差(日本の方が19時間進んでいる)のため、行きは時間が戻る。リアルタイムスリップ。例えば、4月1日の夕方18時頃日本を出発したら、現地時間で出発した日と同日の早朝、つまり、4月1日の早朝にハワイ着となるのだ。帰りは逆に時間が進む。4月1日の午前中にハワイ(ホノルル)を出発したら、翌日4月2日の昼過ぎ頃に日本着となる。そのため、飛行機での機内泊が1泊どうしても必要となる。おじさんの希望通り3日でハワイへ行くとなると、1泊3日(1泊機内泊)となり、トンボ帰り状態になってしまう。

そんなわけで、2泊3日という、旅程がいかに無理なことで無謀か説明する。どんなに最短でも、現地滞在時間を考慮するならば、2泊4日になることを伝えた。さらに、通常のパッケージツアー等は、3泊5日から組まれているものがスタンダードで、リーズナブルになることも付け加えた。

『そうなんですね、、、、。』はじめの勢いより、いくぶんしおらしくなったおじさん。うんうん、と真剣に耳を傾けてくれる。

今まで、海外にも全く興味もなかったし、今もそうらしかった。

『どうして、ハワイへ行かれるんですか??』私は、尋ねる。

『娘がハワイで結婚式をすると言って。なんで、わざわざそんな海外で、近くですればいいのにさ、こっちは仕事もあるし自営業で、休めないって、行かないって断言してたんですけど・・・・・・。とりあえず、どのくらいで行けるのか聞こうと思って。。。。』

娘さんが、勝手に決めてしまった結婚式。不服そう。でも、やっぱり行きたい親父心が垣間見えた。娘さんは、他の家族のハワイ行きの手配はしており、自分は行かないと宣言してしまったため、式まで1ヶ月を切るギリギリの今、一人でここに来店したという。

ほっこり

ほっこり。心が温まる。

来店した時、厳つく見えたおじさんが、急に可愛らしく見えてきた。

『挙式はどこでされるのですか??』

くしゃくしゃの紙に書いたメモに、モアナサーフライダーと書いてあった。奥さんにこっそり聞いたのか、忘れないようしっかり記されていた。

『モアナサーフライダーウェスティン リゾート&スパですね。白亜のお城みたいで素敵なところですよ、ほらここです。』パンフレットの写真を見せた。

モアナサーフライダーウェスティン リゾート&スパは、ワイキキの一等地にある、老舗高級ホテル。人気も高い。http://jp.moana-surfrider.com/LP02.htm?utm_medium=sem&utm_source=Google&utm_campaign=Selective_LP02_A&sem=Google

『ふ〜ん』と気のない返事をしつつ、目はしっかりホテルのページを追っていた。

式の日取りを聞き、娘さんが挙式をされるモアナサーフライダーに近いホテルを案内し、料金を提示する。空席を確認していた私に、『取れますか??』と心配そうに聞くおじさん。絶対に、確保しなければならない席がそこにある!と燃え、心に誓う私。

そんな意気込みをよそに、席もホテルもあっさり取れた。慣れない一人旅、空港からホテルまでの送迎もつけることにした。

旅程も、無事、2泊3日から3泊5日に。

料金、約15万円を即、財布から出しキャッシュで払うおじさん。最初から行く気マンマンやん!と心の中でツッコミをいれつつ、いい気持ちになった。自然と、おじさんと私が笑顔になる。

Happy Wedding!

wedding

Smiycle

閲覧数:31回0件のコメント

最新記事

すべて表示
bottom of page