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執筆者の写真マイケル

父と娘。ふきのとうの小さな約束


ふきのとう

昔、私たちが幼かった頃。10歳になるかならないかの頃。私たちの家の庭には、毎年、ふきのとうが、咲いていた。近所には、ふきのとうの天ぷらが大好きなおじさんがいて、冬から春の、ふきのとうの季節になると、おじさんは、私の家の庭にふきのとうを採りに来ていた。

ある日、父は、私たち三姉妹に言った。

『庭ば埋めるけん。コンクリで。それがきれかし、手入れもしやすかろが。』

父の言葉通り、家の庭はコンクリートで綺麗に舗装された。

コンクリート

その時から、ふきのとうは、咲くことはなくなった。

私は、このエピソードを忘れていて、思い出したのは、父と姉のkikiとニュージーランドの姉を訪れた、30歳の時だった。

自然を愛するyukinnyは、私とkikiと父を目の前に息を巻いて話出した。わざわざ日本から来た私たちのために、お手製のボロネーゼを振る舞いながら。

夕食

『お父さん、覚えとる?家の庭ば埋める時。』『ゆかもまいこも。』

『・・・・。』

『私、やっちゃショックやったと。』※やっちゃ=とても!!

『???』

一同、きょとんとしていた。

お酒も入りyukinnyは、まくし立てる。『私は、嫌やったと、コンクリートにすると、土もなくなるし、草も花もさ埋められるやん。反対したと。でも、埋めるて言うけんさ。』

だから。yukinnyは、ある約束をしたのだそうだ。

『お父さんに、ふきのとうの生えとる庭の端っこの方だけは、埋めんでってお願いしてさ。約束したとよ。わかったって。お父さん言ったし。』

でも。

小さな約束は反故にされてしまった。

同じ出来事に対して、三者三様。kikiは、全く覚えてないと言った。

『え!そがんことあったけ??』

私は、その時、たしかに思い出した。しかし、家では、根を生やしたように全く動かず、怠け者の私は、『草むしりせろ!ってもう言われんで済むやんね!』と、内心ラッキーと思っていた自分を思い出した。

20年振りの思いの丈をyukinnyは、続ける。

『お父さんね。あがんといけんと思うさ。私。子どもやけんてさ。あぁいうことに、子ども傷つくし、ちゃんと覚えとるもんよ。』

決まりが悪そうに、にやける父は。『そがんじゃったかな。。。。』と頭を掻いていた。

Smiycle

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