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執筆者の写真マイケル

幹事様はインド人⑥


飛行機

早速、パリからローマまでのチケットを手配した。ヨーロッパは、陸続きであるため、鉄道も有効な移動手段であり、実際、ヨーロッパ全土には国を超えて鉄道が網羅されています。今回は、日程がタイトなので、あえて飛行機移動を選んだ。ヨーロッパ内のエアチケットは、安く取れることが多く、LCCも豊富に就航している。何より、時間短縮の観点から言えば、飛行機移動に勝るものはなしである。

4泊パリ、2泊ローマ の日程で、考えていた。インド人のクマルさんは、visaが必要なため、visaに必要な書類を二人で揃えた。クマルさんがvisa申請に必要な書類を調べ、その中で、旅行会社で発行しなければならないものを私が用意した。航空券(eチケット)、ホテルバウチャー、英文の日程表がそうである。クマルさんは、そのほかに必要な申請書など、こと細かなものをそそくさと用意して、大使館へ向かった。

イタリア大使館は、都営大江戸線の赤羽橋駅から徒歩6分ほどのところにある。庭園のような佇まいである。

フランス大使館より、イタリア大使館の方が、visaが取り易そうだからという理由で、クマルさんは、イタリア大使館へ行くことにしたのだ。この感覚、何となく頷けてしまうから、イタリア人の国民性は、万国共通の認識なのかなと、ふと思ってしまった。

陽気な国、イタリア。私、大好きです。

さて、『え!フランスとイタリア2つの国に行くのに、イタリアのvisaだけでいいの?!』という疑問が。湧いてきますね。説明します。

ヨーロッパ諸国には、シェンゲン協定という旅行に便利なシステムがあります。旅行会社のスタッフなら誰でも知ってる、この協定。EUとは加盟している国が少し違います。

『EUの22カ国とEFTA加盟国で構成する「シェンゲン圏」では、原則的に出入国検査なしに自由に国を行き来することができる。引用:http://eumag.jp/questions/f0518/ 駐日欧州連合代表部の公式マガジン』

シェンゲン協定

引用:http://eumag.jp/questions/f0518/ 駐日欧州連合代表部の公式マガジン

つまり、シェンゲン協定内の国であれば、出入国の手続きなしで国境を超えて自由に移動することができます。これは、非常に便利なシステムであり、日本人のパスポートであれば、最初入国する国で入国審査をすれば、シェンゲン協定内の国は煩わしい入国審査なしでスムーズに移動ができます。先程、鉄道の話をしましたが、ヨーロッパの国々が鉄道で行き来し易い理由も、このシェンゲン協定にあります。今回の旅程であれば、フランスの空港で入国審査をし、イタリアへは、入国審査の手続きなしのスムーズな移動が可能です。

クマルさんは、インド人なので、もちろんvisaが必要ですが、イタリア大使館でイタリアのvisaではなく、シェンゲンvisaを申請します。シェンゲンvisaであれば、シェンゲン協定内の国がカバーできる、つまり、シェンゲン協定内の国である、イタリアもフランスもカバーできるvisaが取得できるのです。

ブラボー!!シェンゲン協定!!!

『明日、イタリア大使館へ行って来ます。』

クマルさんは、そう告げて、いざ大使館へ行きました。無事に取れますように。私は、祈ります。

翌日、少し遅めのお昼。パンフレットでごった返した狭い、狭い、バックヤードで、オリジン弁当の焼きそばをこそこそと食べていた私に、同僚が駆け寄って来ました。

『ねぇ。ごめんね、ランチ中に。visaの件でインド人のクマルさんが来てるんだけど、、、、分かる??』

『?!』

何か、トラブルがあったのか。。。visaが取れないということは、旅行へ絶対に、出発することができないことを意味する。これまで、手配したチケットもホテルも、キャンセルすることになる。特に、一度、発券したエアチケットには、キャンセル料金も発生してしまう。一気に心配になった。

『どうしましたか??』慌ててデスクに戻り、問いかけます。

『お昼中にごめんなさい。また後でもいいです。』申し訳なさそうにクマルさんは言いました。

時間的に、大使館からそのまま来たであろう事がわかりました。きっと何かトラブルがあったはずだ。

『いえ、今聞きます。どうしました??』

『イタリア大使館ではなく、フランス大使館で申請するように言われました。でも、私は、イタリア大使館の方がvisaがおりやすそうなので、イタリア大使館で申請したいです。そこで、旅程の変更をお願いできますか??』

クマルさんの話によると。

なんでも、シェンゲン協定のvisaはいちばん長く滞在する国で申請する必要があるとのこと。今の旅程では、パリ4泊、ローマ2泊なので、滞在時間の長いフランスで申請して下さいと言われたそうだ。

なるほど。

しかし、クマルさんのイタリア大使館押しは変わらなかった。ここまでくると、フランス大使館ってどんだけ厳しいのだろうと、思ってしまった。

急遽、私とクマルさんはパリ3泊、ローマ3泊の日程に変更し、再度日程表などを揃えた。同泊数であれば、どちらでもいいと言われたそうだった。

翌日、イタリア大使館へリベンジを試み、クマルさんは颯爽と出かけて行ったのだった。

visaの関門は突破できるのか!?

Smiycle

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