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親父たちの失敗。

執筆者の写真: MaikoMaiko



我が家の前にある2面の「空き畑」をサツマイモ畑にするべく冬から、ちまちま動いていた。しかし、父と私の仲違いにより、2面の「空き畑」は父専用の家庭菜園へと姿を変えることに。


なすび、かぼちゃ、里芋、スイートコーン、スイカ、サツマイモ、オクラ。豊な家庭菜園になっている。




父は言った。


「いっちょ(ひとつ)の畑は、ひまわりの種ば、うゆっけん!(植える)」


それから、近くに住む父の兄、私からすれば伯父さんから、ひまわりの種をもらって来るのだと意気揚々としていた。


”ひまわり畑を作る宣言”から程なくして、父はひまわりの種を植えたと嬉しそうに話していた。





4月が終わり、5月初旬のよく雨が降った日の翌朝、畑を眺め、そして父は言った。


「ひまわりの芽が出てきたのぉ。」目を細めながら。


私は正直、どれが、ひまわりの芽なのか分からなかった。「ひまわりの芽をよく知っているね」と伝え、父は「わかっさ。(わかるさ)」とさも当たり前みたいな横顔をしていた。


しかし。


その日の昼過ぎ。バタバタと父が家に入ってくるなり、「あんやん(アニキ)に騙された!あん(あの)種は茶豆じゃった。もっかい、植えなおさにゃん・・・・」



我が家の前にある幾つもの畑全体を仕切っている農夫のおじさんがいる。春過ぎになると、家の前には一面の田んぼが広がる。そのおじさんは、あいがも農法を取り入れているので、田んぼの時期になると、可愛い小鴨達の声が蛙の鳴き声と共に私の家に届く。



農夫のレジェンドとも言えるおじさんが言ったのだ。


「わい(お前)は、ひまわりば植えたて言ったとん、こりゃ茶豆じゃっか」


そして、おじさんは、私に袋いっぱいのひまわりの種を渡してくれた。


さすが。レジェンドは違うと私が感嘆したのは言うまでもない。


後日談。


父の兄である伯父さんがトラクターで茶豆畑を掘りこおしてくれ、もう一度、ひまわりの種を植えた。


そして、今、夏を待っている。




Smiycle





 
 
 

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